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[2018/10/12]SRL通信「バリュエーション算定方法の基礎」

ベンチャー企業やスタートアップ企業であれば、成長を加速させる等の目的でVCやエンジェル投資家から出資を受けるケースが多いと思います。弊所でも株式出資による資金調達のサポートが増えてきています。
では、会社の価値は、一般的にどのように評価されるのでしょうか。
企業価値を評価することを「バリュエーション」と言います。バリュエーション(企業価値評価)の方法は、大きく3種類に分けることができます。コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチです。
以下では、それぞれについて、みていきましょう。
 

1.コストアプローチとは

コストアプローチは、ネットアセット・アプローチ、ストック・アプローチなどとも呼ばれており、会社の純資産を基準に企業価値を評価する方法です。会計上の純資産額に基づいて評価を行う「簿価純資産法」と、会社の資産・負債を時価に置き換えて純資産を評価する「時価純資産法(修正純資産法)」などがあります。
「簿価純資産法」は、会計上の純資産に基づて評価を行うため、帳簿作成が適切な場合、客観的で優れている方法といえます。しかし一方で、会計上の数値は、基本的に会社の「過去」の成果を表しているため、会社の「将来」を反映していない方法であると言えるでしょう。
また、「時価純資産法」は、資産の現在の時価で評価するため、資産をすべて売却して現金化するような場合、つまり企業を清算する場合などには適している方法であると言われています。この方法は、会社の「現在」の価値を表していると言えますが、やはり、会社の「将来」を反映している方法であるとは言えません。
以上より、コストアプローチは、会社の「将来」について評価したい場合には不向きな方法であるということが言えます。従って、会社の「将来」について反映したい場合、特に「創業期」の会社を評価する場合には、適さない方法であると考えられます。
 

2.マーケットアプローチとは

マーケット・アプローチは、上場している同業他社や類似企業などと比較することによって、相対的に価値を評価するアプローチです。マーケットアプローチには、「類似上場会社法」、「類似取引法」などがあります。
「類似上場会社法」は、類似する上場会社がある場合に、その類似上場会社の市場株価と比較して非上場会社の株式を評価する方法です。
「類似上場会社法」の手順を簡単にみていきます。まず、類似する上場会社を選定します。類似する上場会社の選定は、業界、取扱商品、事業規模、収益性など、様々な要素を考慮して決めます。次に、選定した上場会社と評価する会社の一株当たり利益などの財務数値を計算し、倍率の算定に使用する財務数値を決定します。倍率の算定に使用する財務数値の代表的なものとしては、一株当たり利益、一株当たり配当額などがあります。指標が決まったら、類似企業と評価する企業、両社の財務数値を比較し、その指標の倍率を計算します。最後に、選定した選定した上場会社の市場株価に倍率を掛けて、評価する会社の株価を算出します。
以上より、マーケットアプローチは、市場の価値を反映している方法であるため、その点で優れていると言えます。また、上場会社の中に類似企業が存在している場合、「創業期」の会社を評価する際にも適している方法であるということができます。しかし一方で、上場会社の中に類似企業を見つけることが難しい場合や、全く新しい分野の会社を評価する場合などには、適さない方法であると言えるでしょう。
 

3.インカムアプローチとは

インカムアプローチは、将来、会社から期待される利益、あるいはキャッシュ・フローをリスクなどを考慮した割引率で割り引くことにより、企業価値を評価する方法です。つまり、現在の会社の価値は、今後獲得するであろう現金(キャッシュ)によって決まるという考え方に基づいた方法です。
インカムアプローチには、「フリー・キャッシュ・フロー法(DCF法)」、「残余利益法」、「配当還元法」などがあります。
「フリー・キャッシュ・フロー法」のポイントは大きく2つあります。まず、1つ目は、将来、「会社から期待されるフリー・キャッシュ・フロー」です。このフリー・キャッシュ・フローの見積もりが重要になってきます。2つ目は、この将来のフリー・キャッシュ・フローを現在の価値にするために割り引く際に使用する割引率です。この割引率のことを「資本コスト」と呼びます。この資本コストの算定もポイントとなってきます。
インカムアプローチは、「将来」の価値を反映する方法であるため、「創業期」の会社を評価する際に適している方法であると言えるでしょう。また、会社ごとに将来のキャッシュ・フローなどを見積もるため、会社独自の価値を反映させることが可能である方法ということもできます。しかし、未来のことを予測するという側面があることから、将来の予測が正しくできない場合、誤った価値を算定してしまう可能性も考えられ、客観性が問題となる方法であるとも言えます。
以上より、バリュエーションの方法は、評価する企業の特徴を踏まえた上で、選択することが重要となってきます。
スタートアップ企業の創業期における資金調達の場合は、3のうちDCFによって将来の価値を現在に割り引いて評価されることが多いようですが、新株予約権の株価算定やステージが進むにつれ、より適切かつ合理的な評価方法が求められます。